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★★ AM10:50 ★★
「そろそろか?」
佐藤さんがモニターを眺めながら、俺に声を掛けた。
「はい。先ほど泉からメールが届きましたので、もうすぐ来ると思います」
モニターの中の真田も時計をチラチラ見て、台所に入った。
お茶の準備でもするつもりか?
「真田って……、すごくマメですよね」
「だな! こうして見ると、どっからどう見ても善良な一般市民だよな~」
さっき俺が思った通りの感想を、佐藤さんも口にした。
「けど実際は、国際テロリストの容疑者を匿っているんだからな。善良な市民もいろいろだな……」
佐藤さんはそう付け足して、苦笑いを漏らした。
「えっ? 匿ってる?」
聞き返すと、片眉をあげて俺を見る。
「この家にロバート松岡、住んでるぞ。たぶんな」
「えっ!? そうなんですかっ?」
俺は思わず声を上げて、モニターを凝視した。
「まあ、証拠はないんだわ。さすがに家宅捜査まではできねぇし……。
ただ何となくこの部屋、違和感があるんだよ。
モニターにも映らねぇし、音も拾えたわけじゃないんだけど。
――なんていうかぁ。真田が一人じゃない”空気”……っていうのかな」
「谷木さんには報告したんですか?」
「ああ、一応な。あくまでも、俺の勘としてだけどな……」
勘……。
けど谷木さんもきっと、佐藤さんのその”勘”が正しいって判断したんだ。
だから今日の場所をあえて『真田の家』に指定したんだ。
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