★ 面晤《めんご》

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 モニターを覗いている俺たちはもちろん、モニター内の面々も全員動きを止めて窓の外を注目している。  その内、我に返った泉が慌てて窓に近づき、サッシを勢いよく開けた。 「谷木さんっ! なっ、なにしてるんですか!?」 「はい、はい、はい」  谷木さんは手を叩きながら、泉をあっさりスルーして部屋へと足を踏み入れる。  おい。あれ土足だよな……。  俺は目ざとく見つけたけど、誰も指摘していないところをみると、みんな圧倒されているらしい……  いや、ロバートは谷木さんの足元見てるか……?  とはいえ、ツッコミようがないよなぁ。あの登場の仕方じゃあ…… 「いずみぃ~。俺はなぁ、もう少し見守っていようと思ってたんだけどなぁ~。  なんか、待っててもさぁ、話が進みそうにないから、出てきちゃったぜー」  谷木さんがいつも以上に呑気な口調で泉に語りかけながら、宝田さんが座っている後ろに立った。  俺たちからは谷木さんの背中しか見えない。 「はい? ちょっと、何しに来たんですか?   質問なら、私がやることになっていたでしょう?」  泉は谷木さんを追いかける形で窓から離れ、谷木さんの横に立つ。 「そうなんだけどさ~。俺ってやっぱり、仕事熱心だったんだわ。くくくっ」  あぁ、俺には見える。今絶対お得意の、白々しい笑顔が浮かべてるな。 「まあ、座れよ~。俺は後ろで立ちんぼしてるからさぁ~」  谷木さんは泉の背中を押して、宝田さんの隣に座らせた。  それから、腕を組んで前を見据えた。(モノ申すときの谷木さんのスタイルだ……) 「お前がロバート松岡かぁ~。  会いたかったぜぇ~。もうね、恋しちゃったかと思うくらい、お前のことばっか考えてたんだぜ、俺」  軽い口調とは裏腹に、凶暴な眼差しなんだろうなぁ……。  俺は、何度あの口調と鋭い双眸のギャップにビビらされたことか……
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