40人が本棚に入れています
本棚に追加
/408ページ
『明子さんの言うとおり、あれはとんでもないモノでしたよ。
だから、私がこの手で闇に葬り去りました』
憎々しげに報告するその顔はきっと、とんでもなく凶暴なんだろうな……。
まあ、私も今、負けず劣らずそんな表情をしていると思うけどね。
「そのノートの内容を教えて欲しいの。
泉さんも例の『パンドラ』に立ち会うんでしょう?
そのために、私も覚悟しておきたいのよ。だからできるだけ早く会えないかしら?」
そう言うと、泉さんは小さく含み笑いをした。
「何?」と私が聞く前に『実は、昼頃かな……。音無さんから連絡が来て、明子さんと同じことを聞かれましたよ。
それで、明日の午前中に音無さんの事務所に行くことになったんです。
偶然なら、お二人の息、ぴったりですね?』
「音無さんと息がぴったりだなんて、嬉しくもなんともないわよっ!」
思わず声を荒げて大否定したけど、光を過保護に思うところは確かに同じかもね……。
そんなわけで、翌日の10時に音無さんの事務所に行く約束をして電話を切った。
明日の10時かぁ。
音無さん……、大丈夫かな……。
私は昼間の相原先生の意気込みを思い出し、音無さんは果たして無事に事務所に来られるのだろうか、と少しだけ気の毒になった。
最初のコメントを投稿しよう!