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「さあてと。じゃあ、ロバート松岡。いくつか質問に答えてもらおうかな」
谷木さんがそう言うと、ロバートは少しだけ小首をかしげた。
さっきまでは、殊勝な表情や悲壮な表情が見え隠れしていたが、今はすっかり表情が消えてマネキンのようだ。
「東京有明マラソンの騒動、お前が首謀者なんだよな？」
谷木さんはもうおどけ口調なしで、ストレートに尋問に入った。
「谷木、さんでしたっけ？
今回の接見はこちらからの要望のみで、警察からの質問に答える約束はなかったと思いますが」
それに対してロバートは、マネキン顔のまま谷木さんをかわす。
そうだ。そもそも今回の接見は、あくまでもロバートの希望である『宝田光に会いたい』を叶えた形になっている。とはいえ、それこそ”希望を叶える”であって、その後のことは取り決めていない。
だからこそ、事件についての質問を用意し、その為の打ち合わせだって泉とさんざんやった。それなのに、わざわざ谷木さんが登場してくるなんて……
いったい谷木さんは、何を考えているんだ？
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