★ 面晤《めんご》

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「言い訳、だ。――しかし、……聴いてくれるかい?」  ロバートはがっくり肩を落とした。  宝田さんに対して話しているのだろう。口調が柔らかい。  そして、宝田さんが頷いたようだ。少し息を吐きだして、いよいよ意を決したような顔つきになった。 「名前は言えないが、俺はある組織から日本で暗躍しているテロ組織の活動を探るように命じられたんだ。  長い年月をかけて、やっとそのテロ組織に接触することに成功した。その組織の思想はとても危険でね、いつ、どこでテロを起こすかわからない。  俺は何とかして組織の中に侵入しようと試みた。しかしそのためには、組織に信用してもらわなくてはならない。――、だから……」  ロバ―トの独白は、谷木さんが想像した通りの内容だった。  だから――、【バタフライ】で兵隊を作り、信用してもらって…… 「――、だから、その前に君に会っておきたかったんだ……」 「えっ!?」  俺は今、頷く準備できてたよ? なのに、『君に会っておきたかった』ってなんだ??  モニター内でも 「はぁあぁ?」   って、聞き返す泉の声が聞こえる。
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