★ 面晤《めんご》

18/25
前へ
/408ページ
次へ
「あの……、それで?」  宝田さんが話を促す。ロバートは一つ頷いて話を続けた。 「うん。実はね、真田に用があって、こっそり青国に行ったことがあって。  その時、偶然君を見つけてしまったんだ……。君はその隣の人、と一緒だった。  ふたりのことを見ていたら、すぐに恋人同士だと思った。そして……、どうか変に思わないで欲しいのだが……、その、彼のことが気になってね……」  そう言って、ロバートは泉を指さす。 「彼を調べさせてもらったんだ……」 「はぁ!? なん、おまっ!」  泉が立ち上がりかけるのを、後ろから谷木さんが抑え込んだ。 「おいおい、俺はそんな『パパの独白』なんて聞きたくねぇんだよ。  もうさぁ、いろいろ吹っ飛ばして真相を話せよ。  お前が泉を調べたのは、コイツが警察官だからだろ? それで、コイツを始末するチャンスでも伺っていたのか?」 「それは、誤解だっ。――、わかった。全てを話そう。誓って言うが、俺は君たちに被害が及ぶなんて想像もしていなかった。あれは事故だ。  考えてもみてくれ。  あのマラソン大会での君の位置は、かなり後ろだったはずだ。対して【バタフライ】のバイヤーは、前方スタートだった。  普通なら、出会うはずがなかった。そうだろう?」  ロバートは両手を広げて身の潔白をアピールしている。  ずいぶん、人間らしくなったなぁ。
/408ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加