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「俺の任務は、BHの内情を探り、それをCIA本部へ報告することだった。
明日BHが襲撃され、壊滅されるとなれば、もう俺が日本にいる理由はないんだ……」
明らかに宝田さんに向かって話している。
「ずっと、こうして君に会いたかった。それだけを生きる希望にしていた。
――もう、心残りはないよ。俺は……明日アメリカに戻る」
「そんな……」
「本当か?」
宝田さんと谷木さんの声が重なった。
「本当だ。横須賀基地からワシントン行きのチャーター便が出るはずだ。
B556だ。お前ならすぐに分かるのだろう? 俺はもう二度と日本の地は踏まない。
約束する」
「ふぅ~ん。でもさぁ、お前以外に覚せい剤を利用した催眠ができるやつは、他にいないのか? お前、誰かに教えてないのかよ?」
「いない。俺だけだ。
それにあれは本来、俺の真意ではない。
もう二度と、催眠技術を悪用するつもりはない。
これは、CIAとの間でも約束されている事だ。
俺は今後は医師としてCIA内で働くことになっている」
ロバートはあえて谷木さんに向かって話しているようだ。
きっと、宝田さんに別れを言うのが辛いんだろうなぁ。
俺はもうさっきから、胸が締め付けられる思いだ。
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