★ 谷木さんVSロバート

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「柏木。お前、谷木さんのこと、どこまで知ってる?」   「どこまで、って……。泉公安部長の下僕、ってことは……」 「あのさ、どうして谷木さんが泉部長の下にいると思うか?」  佐藤さんはモニターを凝視したまま俺に問う。  なんで、谷木さんが泉部長の下にいるのか、だって? そんなの…… 「それだけ、優秀、ってこと、じゃ、ないんですか……?」  俺がしどろもどろで答えると、佐藤さんは横目でチラリと俺を見た。 「うん、確かに谷木さんは優秀だよ?   けど……、それだけで、あの若さで公安部長の直属になれると思うか?」 「じゃ、じゃあ……、なんだっていうんです、か?」  ゴクリと喉が鳴った。開けちゃいけない扉に手をかけたような気がした。 「俺も、そのへん詳しくは知らねぇんだわ。でも、もしかしたら……、  あの人、なにかするぞ」 「な、なにか、って……」  確信めいた強い瞳でモニターを見つめ続ける佐藤さんの横顔は、どこか怯えているように見えた。
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