★ 谷木さんVSロバート

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「おい、ロバート。  そもそも、お前はスパイに関しちゃ素人だったよな?   そのお前がBHなんざ、危ない組織に接触して、侵入まで果たした。で、会ってみりゃあ、いっぱしのスパイ顔までしてやがる。   お前、そのスパイのノウハウ、誰に教わった?」 「スパイの、ノウハウ?」  谷木さんの言葉につられて、俺は思わず呟いた。  以前、確か俺も谷木さんに訊いたような気がする。素人のロバートを日本に送りこんでテロ組織を探るなんて、本当にできるのか、と。  その時の谷木さんの反応は呑気なものだったけど、本当はずっと気にしていたっていうのか? 「ノウハウなんて、ない。我流だよ」  ロバートは穏かに、そして無表情に答えた。 「あぁー、お前がすっかり訓練されてるの、忘れるところだったぜ。  俺じゃあ、お前口を割らねぇんだったな……。  はい、宝田光さん、出番でーす。  パパに訊いてよ。『パパのスパイの師匠はだーれ?』ってな。  いや、スパイで師匠っていうのも、変な話だな……、くくくっ」  谷木さんの含み笑いを遮るように、ロバートが口を開く。 「本当だ。――俺は長い年月をかけて」 「うるせぇっ!! 俺はなぁ、もう待っていられねぇんだよ、ロバート。  お前の、その芝居がかったセリフ回しはウンザリなんだよっ!  いい加減、白状しやがれっ! この野郎っ!」  谷木さんがものすごい剣幕で怒鳴った。なんだ!? こんなの見たことないぞ?? 「や、やぎさん……?」  俺だけじゃない、隣の佐藤さんだって、――俺たちはただ茫然とモニターを見詰めた……
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