★ 谷木さんVSロバート

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「あ、あの……、スパイの……お、教えてくだ、さい」  宝田さんが途切れ途切れ、言葉を紡ぐようにロバートに語りかけた。  対してロバートは悲壮な顔で、宝田さんを見つめている。 「おい、娘のお願い聞いてやらねぇのか? しかたねぇ、じゃあ、こっちだったらどうだ?」  そう言って、谷木さんは泉に向けていた拳銃を、宝田さんの眉間に向けた。 「無茶苦茶だっ!」  突然、真田が立ちあがった。  その瞬間、泉が立ちあがり谷木さんの腕を掴んだ。 「谷木さん! いいかげんしろっ!」  泉と谷木さんが激しくもみ合った。が、すぐに泉がソファの上にうずくまった。 「い、ずみさんっ!!」  宝田さんの叫び声が、モニターを通してこっちの部屋にも響き渡る。 「泉さんっ! 泉さんっ!」  宝田さんの泣き叫ぶ声が聞こえて、――俺はこれが演技じゃないって確信した。
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