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「ねぇ、山内さんって何者なのかしら?」
話題を変えるために、何となしに振った質問だったけど、泉さんは眉毛を持ちあげて大きく反応した。
「あぁ……、山内真由ですね。青国、文学部2年生。
私の調べたところでは、彼女は本当に光さんを自分のモノにしようとしていたみたいです」
「――はぁ? 本気で?」
「はい。聞き込みによると……、ネットの掲示板に『落としたい先輩がいる』だとか『手に入りそう』といった書き込みをしていたようです。
じつは山内真由は、レズビアン・コミュニティの間でかなり人気がある女だそうです。
光さんのことを、同性愛者だと思ったのでしょうね。
因みに前年度の青国ムーンと付き合っていたとか……」
「そこに、狭山君が付け込んだってわけ?」
「まあ、そのようですね……。
狭山に『宝田光さんを連れて来てあげるよ。その代り、僕に協力して』と言われたそうです」
泉さんは内ポケットから小さなメモ帳を取り出し、話し始めた。
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