40人が本棚に入れています
本棚に追加
はぁ~。光ったら、幸せそうな顔しちゃって……。
でも良かった。
本当に良かった。
昨夜、泉さんから『光さん、確保しました』と連絡もらった時は、腰が抜けるほど安心した。
奪った唐揚げを咀嚼しながら、昨夜からのてんやわんやに思いを巡らせていると「私のから揚げ~」と口を尖らせている光が私を睨んでいた。
「いいの! 心配かけたんだから! それに私は光と違って、欲しいものは自分から手を伸ばして奪う主義なのよ」
箸でピースサインを作っておどけてみせると、光は少し困った顔をした。
「私もね、昨日小枝ちゃんが持っていた日記を奪っちゃったんだ。
それ読んで暴走して、泉さんに助けられて……
それで…、明子にも心配かけて……。―― ごめん」
「まったくよ! 光が暴走なんて珍しいことするから、寿命が縮んだんだからね!」
神妙な顔をしている光を下から覗き込んで、殊更おどけて返事を返すと、光は少しだけ顔を緩ませて、更に続けた。
「でもね、日記を読んだこと、今は後悔していないの。
そのおかげで、覚悟することができたから……
そう話す光は、少し印象が変わったような気がする。
何だろ……大人になったというか……。
邪推するつもりはないけど、泉さんのおかげなんだろうな……。
最初のコメントを投稿しよう!