40人が本棚に入れています
本棚に追加
/408ページ
「ただいまぁ」
玄関に入るなり、靴を脱ぐ前に台所から母親が顔を出した。
「おかえり! 明子、今日カウンセリングの日じゃないの? 約束何時?」
「うわっ! 忘れてたぁ~! ママ、ありがとう!」
私は大慌てで自室に飛び込み、パソコンを立ち上げた。
時計を見ると約束の時間まであと10分というところだった。
立ち上げている間に手洗いやうがいを済ませ、一息ついたところでパソコンの前に座ってエンターをクリックした。
「こんにちは、先生」
「こんばんは、中山さん、今日のロンドンは雨だよ。東京はどうかな? 」
私が声を掛けると、パソコン画面に映る私の主治医、芳樹医師が優しく微笑んだ。
芳樹高志(よしきたかし)医師、私を拉致監禁した芳樹涼(りょう)のお父さんでもある。
最初のコメントを投稿しよう!