☆彡 芳樹医師

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「ただいまぁ」  玄関に入るなり、靴を脱ぐ前に台所から母親が顔を出した。 「おかえり! 明子、今日カウンセリングの日じゃないの? 約束何時?」 「うわっ! 忘れてたぁ~! ママ、ありがとう!」  私は大慌てで自室に飛び込み、パソコンを立ち上げた。  時計を見ると約束の時間まであと10分というところだった。  立ち上げている間に手洗いやうがいを済ませ、一息ついたところでパソコンの前に座ってエンターをクリックした。 「こんにちは、先生」 「こんばんは、中山さん、今日のロンドンは雨だよ。東京はどうかな? 」  私が声を掛けると、パソコン画面に映る私の主治医、芳樹医師が優しく微笑んだ。  芳樹高志(よしきたかし)医師、私を拉致監禁した芳樹涼(りょう)のお父さんでもある。
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