☆彡 芳樹医師

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「あの事件の直前、涼はね、聞かれていたんだよ。  白人グループに『ここら辺でイスラム人がやっている店はないか?』ってね。  そして涼はモハメド君のお店を彼らに教えてしまったんだ」 「――そんな。じゃあ……」  画面に映る芳樹医師は俯いていた。  小さく肩が震えている。それでも言葉を絞り出そうとするためか、医師は無理矢理顔を上げた。 「涼は、知らなかったんだ。彼らがこれから何をしようとしているのか、本当に知らなかったんだ。それは……、信じて欲しい……」 「……」  私は目を閉じた。 「涼はね……、あの事件の後、毎夜うなされていた。  自分のせいで事件が起きてしまった、と……。  私はそんな涼を見ている事しかできなかった。  できることといえば、毎夜毎夜、安定剤を与えることくらいだった。  そんな時、君のお母さんから相談を受けたんだ。  そして、君を見て涼にも同じ治療をしたんだよ。  君と同じ様に……、記憶を、操作したんだ……」  懺悔だ。そう思った。  芳樹医師は、今私に向かって懺悔している。
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