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その夜、久しぶりにあの夢を見た。
最初はモハメドと楽しくおしゃべり……。
そこへ銃を持った男たちが押し入り、モハメドのお父さんが撃たれる。
私が悲鳴をあげると、モハメドが私を守るように抱きしめた。
そして始まる銃の乱射。
ウイスキーの瓶が次々と割られ、むせ返るようなウイスキーの香りが店内に充満する。
私は血を流すモハメドの名前を叫び続けた。
するとそこに人陰が現れた。
『早く! 救急車をっ!』
顔を上げて助けを求めると、目の前にはリョウが立っていた。
裁判の時のリョウだった。
そしてまた銃が乱射される。
激しい銃声と悲鳴の中、何の感情もない顔で私を見ている。
『リョウ、危ないっ! 撃たれちゃう! 逃げてっ!!』
叫んで教えてあげたいのに、声が出ない。
苦しい! 声よ、出て! 早くっ!!
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