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「遅くなりました」
公安部資料課の【資料室】というプレートがかかっている部屋に入ると、すでに谷木さんと柏木が何やら真剣に話していた。
「おぉー、泉、来たか! なぁなぁ、聞いてくれよ~。
柏木の奴さ、侵入捜査そっちのけで、ガールフレンドとデートばっかしてるんだぜぇ~」
谷木さんが嬉しそうにそう報告すると、柏木はとたんに赤くなって「違いますよ! 捜査協力ですよ!」と声を荒げた。
「えっ!? お前、明子さんに捜査協力頼んだのか?」
と、質問した後すぐに、あぁ、頼んだんじゃなくて、『させろ』と脅されたんだろうなぁ……と思い直した。
明子さんなら、やりかねない。
私の質問に「ぐっ」と息を呑んだ柏木に「いや、ごめん、お前の立場はわかってる」と、フォローのつもりで言ったけれど、柏木は複雑な顔で何か言いたそうにしていた。
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