☆★ 泉VS柏木

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 対面形式で置かれた会議机にむかい合わせで座り、お互いの情報を交換する。  東京有明マラソンで初めて明らかになった『バタフライ』という名の麻薬を巡り、我々は情報を交換して来た。  とはいえ、警察と公安の溝は深く、無難な情報を小出しにしながら、相手の情報の内情を探っているという状態。  ところがここに来て、新たな局面を迎えた。  それは『宝田光』という名前が浮上してきたからだ。  真田の息がかかった狭山が光さんを連れ去り、軟禁したこと。  狭山が単独で起こした事件なら、問題ない。けれど、その裏に真田の指示があったとしたら、光さんが事件に関わっていることを意味する。  私は嫌でも光さんのことを調べる必要があった。  それは、公安でも同じだ。そして向こうの方が優勢であることも。  こうなったら、こちらの手を明かし、向こうの情報を引きだすしか手段はない。  しかし、向こうは私よりも千歩先を読むだろう谷木さんがいる。  一筋縄ではいかないことは、重々承知している。 「柏木、明子さんだけど……、あまり無理をさせるなよ」  どう切り出そうか、あぐねながらそう言うと、柏木が答える前に谷木さんが口を開いた。
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