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「何もなかったら、良いというのかよ!?」
柏木は立ち上がって机を大きく叩いた。
「ごめん。本当のことだ」
「お前、俺の気持ち知ってて、何も言わないつもりか?
明子さんとホテルに行っておいて……。お前、……」
「ホっ、……テル??」
柏木の悲しみにゆがんだ顔を眺め、震える拳に目をやると、私はおもむろに口を開いた。
「お前さぁ、谷木さんから何言われた?」
「とぼけるのか?」
「いや、そうじゃなくて……。
因みに私は何度でも言えるから、一応言っておくけど……。
私が愛しているのは光さんだけだからな?」
「おまっ、じゃあ、明子さんはどうするんだ?」
私は目を丸くした。ついでに何回か瞬いた。
こんなにも純粋なこいつは、本当に公安でやっていけるのだろうか?
柏木、この先も苦労するだろうなぁ……。
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