☆★ 泉VS柏木

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「柏木、よーく聞け。  私にとって明子さんは姑だ。それ以上でもなければ、それ以下でもない。  そうじゃなくても……、明子さんに手を出す勇気は、私には――、ない」  今度は柏木が目を丸くする番だ。 「じゃ、あ……、お前が、二股をかけていた……、という話は嘘なのか?  だって、明子さんと泉って、実はめちゃめちゃ仲がいいし……」 「うーん、まあな……。  確かに明子さんは話しやすいし、頼りになるし、私を理解してくれる貴重な存在だ。  それになんといっても、光さんの大親友でもあるしな」 「本当にそれだけなのか?」 「あぁ。私にとっては、光さんだけが全てだ」 「お前さぁ、よくそんな恥ずかしいセリフ、堂々と言えるな」  少し気まずそうに頬を赤らめる柏木を、優しい気持ちで眺めた。 「だって、本当のことだ。光さんが私の全てなんだ。  柏木、お前、明子さんのことが好きなんだろう?   なら、腹くくってどーんと、ぶつかっていけ。どんな結果になろうと、燻っているより、ずっといい」  柏木は一瞬目を細めた。  それから、はにかんで頷くと「ありがとな」なんて呟く。 「がんばれ、柏木! 当たって砕けろ!」 (あ、砕けちゃマズイよな……)  私は気まずさを誤魔化すように、柏木の肩を2度3度叩いて励ました。
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