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気持ち的には、今すぐ180度ターンして部屋から出て行きたい。
そんな私の心情を見抜いたのか、柏木さんが私の背中に触れた。
見ると、目だけで私を促している。私も目だけで答えた。
意を決して、再度真田教授へと目線を向け、何とか口を開けた。
「教授、私は今【心療ゼミ】で、犯罪者の心のケアを勉強しています。
その関係で、犯罪心理にも興味がありまして……。
是非、教授のお話を聞きたく、アポイントを取らせていただきました。
つきましては、教授に質問させていただきたいのですが……、よろしいでしょうか?」
「心療ゼミ、というと……、吉田教授だったかな?」
「はい。心療内科の分野では研究内容も素晴らしく、私たち学生にも親身になってくれるのですが、犯罪心理の分野は、――是非とも真田教授に……」
私はやや興奮気味に訴えた。
いや、かなり本心だし。けど、この人ホント、圧迫感半端ないなぁ……。
さっきから、心拍数が上がりっぱなしなんですけど……。
教授は少しだけ穏やかな表情になって、私を見た。
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