☆彡 真田教授

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「いいだろう。FBIファイルは何冊かあるが、お目当てがあるのなら聞こう」  緊張している私がおかしいのか、ふっと息を吐いて、教授は柔らかい口調で尋ねてきた。  それに乗じて、私は先ほどより少し余裕をもって口を開けた。 「できれば、20年前の未解決事件のものを。――日本人ストリッパーが殺害され、犯人は日系アメリカ人であると断定されましたが、未だ捕まっていない、というファイルを見せてください」  そう口にした。  この台詞は、柏木さんから頼まれたもの。  私が20年前の事件なんて知るわけないし、ましてや、そんなファイルを真田教授が持っているなんて、知っているはずもない。  でも、柏木さんがそう言え、って言うんだから、そうなんでしょうよ。きっと。  真田教授は、さすがに驚いた顔をしていた。  顔そのものは無表情なんだけど、わずかに目が大きくなった気がした。  そう思って、よくよく観察してみると、少しだけ頬が引きつっているようにも見える。  これは……、狼狽えているのかしら?  私は黙って教授の様子を観察した。 「君の名前を聞いてもいいかな?」  教授が静かにそう質問したところで、後ろから柏木さんが声を掛けた。 「教授、僕もその事件のファイルに興味があります。犯罪心理の山田です」  私は無表情を貫いた。けど、心の中じゃ『なに? ここで登場なわけ?』と突っ込みを入れたわよ。  その反面『いよいよ公安捜査っぽくなってきた~』と……、わくわく感を隠すのに必死だった。
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