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「ねえ、谷木さんならいろいろ知っているのよね?
今後も協力するから、谷木さんに会えないかしら?」
私は目を輝かせて提案したけど……
「うーん。それは……」
渋い顔で唸ってから「ダメ」と一言。
「なんで?」
「谷木さん、かっこいいから」
「はあ? 何それ?
そんな理由なら、是非ともお友達になりたいわね! イケメン歓迎だし」
殊更おどけてそう言うと、柏木さんは真面目な顔をして私を見つめた。
「明子さんに聞きたいことがあるんだけど」
「何かしら?」
「この前、狭山が言っていた『君の事件』の話、聞かせてほしい」
君の事件? あぁ、拉致監禁の話か……。
「それなら、泉さんに」
「あの事件を泉が担当したってことは知っている。
けど、俺は君から聞きたいんだ」
柏木さんは話を遮って、怖いくらいに鋭い眼光で私を貫く。
私は小首をかしげた。
「なぜ?
泉さんから聞いた方が、犯人側の背景も分かるし、私から聞くよりもよっぽど客観的に分析できると」
「そういう事を言っているんじゃないっ!」
また遮られた。しかも、どんどんヒートアップしてきている。
はぁー、駄々っ子と話す時ってこんな感じなのかしら?
イライラと髪をかき上げて、これ見よがしにゆっくりと口を開いた。
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