☆彡 気楽な恋人

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 早足でカフェテリアから外に出たとたん、誰かにガシッと手首を捕まれた。 「きゃあぁぁぁ!!」  予想外の事で、思わず悲鳴を上げて振り向くと、息を切らした柏木さんがいた。 「ご、ごめん……。君に言われたことを理解するまで放心しちゃって……。  追いかけるスタートが遅れた……、じゃなくて!」  柏木さんは、握っていた手首をゆっくり離してから 「さっきはごめん!」  そう言って目の前で腰を折り曲げた。 「君の言うとおり、俺は自分の事しか考えてなかった。  明子さんにとっての、特別になりたかったんだ。  君に近づきたかった。  でも、それは、確かに俺の一方的な勝手な思いだった。  君を傷つけた。本当にごめん。  もう無神経に踏み込んだりしない。約束する。  だから、君の望む通り、ただ楽しくお付き合いしたい」 「はあ? ちょ、なにを……」  唖然とする私の手首をまた掴んで、無理やり右手同士で握手させて、ブンブン振る。そして 「今から、俺たちは『気楽な恋人同士』だ。よろしく!」  そう宣言した。
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