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☆彡☆彡☆彡
「ぐあぁー! むかつく!」
今日の講義が終わった後、光を誘って大学の側のカフェで怒りを爆発させた。
「何が『気楽な恋人同士だ』よっ!」
一足早い夏の新作ラテを飲みながら声を荒げると、苦笑いを浮かべた光が「柏木さん、がんばったね」なんて……、見当違いな感想を漏らした。
「何がよ!?」
「だって、柏木さん、ずっと明子の事が好きだ、って言えなくてモヤモヤしていたみたいだったから……」
「そうかも、知れないけど……」
私の興奮は、しなしなとしょぼくれた。
柏木さんから好意を持たれていたのは、うすうす気づいていた。
でも、何も言われないし、暗黙の了解で『友達以上恋人未満』を楽しんでいるのかと思った。
柏木さん自身も、恋愛に夢中になるタイプじゃないと思っていた。
「明子、柏木さんと付き合うことにしたの?」
「したわよ、たぶん。
だって、宣言したと思ったら、全速力で逃げるんだもん。返事も何もないわよ」
「そうなんだ。じゃあ……、恋人ってことでいいのかな?」
「さあ? よくわからないけど。
まあ、でも『気楽な恋人同士』って言うんだから、今までとあんまり違わないんじゃない? それなら、それで構わないけどね……」
名前ばかりの恋人。私には丁度いい……。
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