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☆彡☆彡☆彡
家に戻る途中で、私の携帯が着信を知らせた。
相手は、想定内の「音無さん」
音無さんはこの春から、正式に光の顧問弁護士になった。
でもそれだけじゃなくて、いつの間にか『妹思いの優しい兄』という立場を手に入れていた。そのせいか、以前よりはるかに光に対して過保護になっている。
「はいはーい!
なんですか? 光なら元気そうでしたよ。
おかげさまで泉さんの裸も拝めたようですし……」
電話に出るなり、挨拶もそこそこ……、現状を報告すると、電波の向こうで暗い声が呟いた。
『中山さん、悪いけど今、その話題は勘弁して……』
あら、思った以上にダメージ食らってるのね。
『俺はね……娘を嫁にやる父親の苦悩を全身で感じているんだよ……』
いつの間にか、兄から父親になってるわ……。
音無さん、いくつ設定!?
「はあ……」
呆れた声を出した私にお構いなく、大きなため息を吐いた音無さん。
もう切ってもいいかな……。
いい加減、切ってもいいですか?…と声を掛けようとした時
『中山さん…、光から書類の話、聞いた?』
音無さんが硬質な声で問いかけてきた。
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