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☆彡☆彡
大学のカフェテリアは、いつものように学生たちで溢れかえっていた。
何年経とうと、ここの住民が入れ替わろうと、この風景は変わらない。
私たちが去った後も、きっとこの風景だけはそのまんまなんだろうなぁ、なんて、ガラにもなくセンチメンタルな気分になって、新緑がまぶしくなった野外広場を眺めていた。
『明子、ちょっといいかな?』
声をかけられ目線を戻すと、目の前で日替わり定食を食べていた光が、箸をおいて私をまっすぐ見ている。
『ん? どうした?』
外を眺めていたから目が慣れなくて、光の表情が良く見えない。けど、声色からして、緊張してる?
私はデザートとして買っておいたプリンのパッケージをピッ、ピッ、ピッと剥がしてから、再度光に顔を向けた。
明暗がはっきりしたはずなのに、光の顔は未だ暗く見えた。
『どうしたの? 何かあった?』
真面目モードになって、光を促すと
『うん……、あのね……日にちが決まったの』
『日にちって……、あれ? パンドラの?』
光は神妙な顔をして頷いた。
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