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『明子?』
私の意識が逸れていることを感じたのか、光は心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
『ん? それより、泉さんの仕事大丈夫なの?』
『うん。調整してくれている。すごく忙しいのに……、無理させちゃってる……』
『バカだな、光は。泉さんにとって、光以上に優先すべきことなんてないんだから。いいの。無理なんかじゃないわよ』
私がそう断言すると、さっきまで俯き加減のせいで半分だったその目を、今度は真ん丸にしている。
泉さんだってそう言ってたんでしょ、どうせ。
やれやれ……。光にはもう少し『わがままの言い方』をレクチャーしてやんなきゃダメみたいね。
そうしたら、泉さんを使っていろいろできるじゃない。
ふふふっ。自分でも認識できるくらい、思わず悪い顔でほほ笑んだ。
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