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「よう、泉」
私が警備部の大部屋に足を踏み入れようとした時、廊下をのんびり歩いている人物が私に手を上げた。
「谷木さん……? 珍しいですね、谷木さんがこっちに来るなんて……」
警備部である私と公安で暗躍している谷木さんが接触するときは、大概私が公安の部屋を訪れる。
「あ、小西部長に用ですか?」
私が言葉を継ぎたして要件を問うと、谷木さんは爽やかなイケメンスマイルを晒して、ひとさし指を立てた。
「ここで、立ち話っていうのもなんだからさ、上な」
なんだ!? 久しぶりに見たぞ、この胡散臭いイケメンスマイル……
「はぁ、まあ、いいですけど……」
私は谷木さんの後に従い、上階にある道場へと向かった。
そう、ここにもあるのだ。
【精神統一の部屋】と呼ばれる8畳ほどの畳敷きの個室が……。そしてご多分に漏れずここでも『説教部屋』として存分に使用されている。
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