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「まあ、入れよ」
谷木さん促され、畳敷きのその部屋に入る。
谷木さんは入口にかかっているプレートを【使用中】とした。
この中で本当に精神統一している人なんて、きっと小西さんくらいだろうなぁ、と苦笑を漏らす。
そして下座に正座をし、谷木さんの要件を聞く準備をした。
どうせ、碌な言葉しか出てきやしないんだから。
「お前さ、明日有給取るって、聞いたんだけど?」
「はい、それが何か?」
「有給じゃなくて、仕事だろ?」
ニヤリと笑う谷木さんの趣旨がわからず、私は顔を曇らせた。
「いえ、有給を取りましたので、休みますが……?」
「おい、おい、冗談はよせよ。いいんだぜ、誰も聞いてねぇんだからさぁ」
嫌な笑い顔を張り付けて、更に言い寄られて、いい加減頭に来た。
「要件があるなら、はっきり言ってください。私も暇じゃないんです」
はっきりとそう告げると「ちぇ、つめてぇの」と口を尖らせたあと、目を光らせて口を開いた。
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