☆彡☆★ パンドラ前夜

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「まあ、入れよ」  谷木さん促され、畳敷きのその部屋に入る。  谷木さんは入口にかかっているプレートを【使用中】とした。  この中で本当に精神統一している人なんて、きっと小西さんくらいだろうなぁ、と苦笑を漏らす。  そして下座に正座をし、谷木さんの要件を聞く準備をした。  どうせ、碌な言葉しか出てきやしないんだから。 「お前さ、明日有給取るって、聞いたんだけど?」 「はい、それが何か?」 「有給じゃなくて、仕事だろ?」  ニヤリと笑う谷木さんの趣旨がわからず、私は顔を曇らせた。 「いえ、有給を取りましたので、休みますが……?」 「おい、おい、冗談はよせよ。いいんだぜ、誰も聞いてねぇんだからさぁ」  嫌な笑い顔を張り付けて、更に言い寄られて、いい加減頭に来た。 「要件があるなら、はっきり言ってください。私も暇じゃないんです」  はっきりとそう告げると「ちぇ、つめてぇの」と口を尖らせたあと、目を光らせて口を開いた。
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