40人が本棚に入れています
本棚に追加
『明子……』
光が掠れた声で囁いた。
「なに?」
『……あのさ……、私……生まれてきて、良かったのかな』
遠慮がちに、放り投げるみたいな言い方。
「どうして?」
『だって……。だって、ずっと考えてた。
私が生まれたから、みんなが傷ついたんじゃないか、って。……わたしが……」
光の息遣いだけが、電波を通して私の耳に届いた。
少しだけ荒い、息遣い……。
ばかっ! 私まで泣くな! 私は唇を噛みしめた。
最初のコメントを投稿しよう!