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「それでは、開けます」
音無さんがアタッシュケースに鍵を差し込むと、カチッという音がして、ケースの留め金が外れた。
一連の動きから目が離せない。
そしてややもったいぶった手つきで、その箱は開かれた。
本当なら、ラッパでも吹きたいところだけど、ありえないくらいに空気が重い。
冗談でも言おうものなら、師範辺りにドヤされそうだわ。
「まず、中の書類をお見せする前に、書類にサインしていただきます」
音無さんが出した書類には『いかなる理由があろうとも、私たちはこの情報を外に漏らすことはない』という誓約書だった。
はぁ……。まあ弁護士としては当然の処置よね。
光の強い希望があったから、本人以外に情報を公開するわけなんだからね。
もちろん、誰も意義を唱えなかった。
全員でサインすると、音無さんは満足そうにその書類を眺めた。
それから、いかにも弁護士っぽい真剣な表情で「では、これから宝田家の極秘書類を公開いたします」と宣言した。
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