☆彡 パンドラ前半

6/13
前へ
/408ページ
次へ
「これは『宝田聖子さん死亡』に関する書類です。  光、例の日記には『星の子』という字を使っていたと思うが、本名は聖人君子の聖の字を使って『聖子』さんという」  音無さんはそう説明し、用紙の束を光に手渡した。  光がそれをテーブルの上に置き、全員でとり囲んで注目した。 「その書類は、アメリカの生命保険会社から、死亡保険金が支払われたことを示すものです。  金額は約20万ドル、受取人はまだ生まれていない子供、もしくはその子供の親権者とあります。聖子さんが妊娠中に加入した保険のようです」 「20万ドルは……、えっと……」  私は頭の中でそろばんを弾いた。 「20万ドルは、1ドルが100円なら、2千万円ですよ。その辺を目安にしてください」  音無さんはあっさり言った。  悪かったわね……。算数レベルであたふたして……。  私は片手あげて、音無さんに話を続けるよう、促した。
/408ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加