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「聖子さんが亡くなった時、光は生後約1か月でした。
生命保険の受取は成立しますが、なにぶん、赤ちゃんですからね。
結果的には、光を引き取った者が代理で受け取るということです」
音無さんは、光を見て苦しそうな顔を浮かべた。
それから、意を決したように口を開いた。
「光、聖子さんはベッドから突き落とされて、運悪く床に置いてあった置物で首を損傷。死因は出血多量によるもの、とされている。
これが、死亡原因の書類だよ」
今度は、直接テーブルへ書類を置いた。
「突き落とされた、ということは……」
師範が小さく呟く。
「そうです。殺害されたのです。
犯人は日系アメリカ人でした。
以前から聖子さんの周りをうろついていたらしい。
この書類には『聖子さんは子供を守るようにして、子供の上に覆いかぶさったところを、犯人に突き飛ばされ、ベッドから転落した』と記されている。
犯人はその場から逃走、未だ行方不明だ」
「そんな……」
そして青くなって書類を手に取った。
「犯人を特定した決め手は何だったんですか?」
泉さんが刑事の顔になって、音無さんに質問した。
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