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「友人の証言だよ。犯人の友人が、犯人からの電話を受けている。
警察への通報もこの友人がしたんだ。
犯人は友人へ『セイコを殺してしまった』と、確かに言ったらしい。それに、その会話は証言した友人の電話に録音が残っていた。
これが決め手となって、犯人が断定され、指名手配となった。
捜査は地元警察からFBIの手に渡ったが、未だに犯人は逮捕されていない。
もしかしたら、どこかで自殺を図ったのではないか、とも言われている」
そう言って、警察から生命保険会社への『事件報告書』を泉さんに渡した。
泉さんはその書類を見て、眉間にしわを寄せている。
『恐ろしく剣呑な顔してるわよ……』と小声で教えてあげたいくらい。
でもその書類をチラリと見た私は、そこに載っている名前を目の当たりにした瞬間、泉さんのことなんて頭から吹き飛んだ。
身体が震える……。
「い、いず、みさん、その書類……、ちょっと、見せて」
震える手を伸ばすと、泉さんは怪訝な表情のまま、書類を差し出した。
あぁ、やっぱり。――見間違いじゃなかった。
ここに載っている名前――、ドッペルゲンガーじゃなくて、同姓同名でもなければ、私の知っている人物ということになる。
犯人は『ロバート松岡』そして、その友人は『真田浩二』と記されていた。
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