謝肉祭

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痒みと痛みでほとんど寝られなかった。 不眠のせいか、アクセルを踏む足の感覚がおかしい。 無理をして出勤すると、いつもは機械的な挨拶をするだけの従業員が目を真ん丸にした。 「ボス、その顔!」「ゾンビだ!」 ゾンビとは失礼な。鏡を借りて顔面を確かめる。 心臓が止まりそうになった。 右の鼻がまっ黒く融解し、無くなっている。 「今日は休暇を取る!」 誰も反対しなかった。 保険や医療費など知ったことか。命あってのものだねだ。 急いで車に戻り、アクセルを目いっぱい踏み込む。 恐怖のせいなのか、両足が震えている。 きつい角度のカーブにさしかかる。 ブレーキを踏んで減速しなければ。 左足が動かない。 小刻みに震えているだけだ。 瞬間、世界が一周し、意識が途絶えた。
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