謝肉祭

州立病院 ＩＣＵ

「患者は日本人。アメリカには２年間在住しています。出社した際に顔の異常を指摘されました。焦って車を運転し、速度超過でカーブを曲がりきれず事故を起こしました」

看護師の言葉を、救急医がパソコンに打ち込む。

「脳震盪と距骨（きょこつ）の骨折だな。それから、侵襲性アスペルギルスの感染。鼻は気の毒だが切除しないといけないな。手術室が空き次第切除。それまでは抗真菌薬の点滴」

「すぐに準備します。それから、、、、、、」

「ん？　何か他に気になる所でもあるのかね」

「はい。男性が『カニバルＣａｎｎｉｂａｌ』、『カニバルＣａｎｎｉｂａｌ』と呟いていたのが何だか不気味で」

「今時、食人ねぇ。他の単語の言い間違いである可能性が高いが」

医師は、包帯と点滴でぐるぐる巻きになった患者を一瞥した。
医学生の頃聞いた話を思い出し、治療の合間に検索をかける。