誰も居ない街で

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「ちょっと見てくる。ひょっとしたら生存者かもしれないし・・・。」 「待って、私も行くわ。」 「わかった。念のためバッグの準備をしておいて。」 足音を殺しながら、できる限り急いでドアへ向かった。 すぐ後ろにはミヅキがいて、繋いだ手は恐怖から震えていた。 励ますようにギュッと握ろうとしたけど、僕の手にも力が入らない。 お互いに怖いのは一緒だった。 ドアの付近にまでたどり着いた僕は、覗き穴から外をうかがった。 そこには白目をむいて口を半開きにした、血塗れの女がいた。 女から少し離れた場所には腕のねじ曲がった老人や、足を引きずっている男も見えた。 「か、感染者だ!3体もいる!」 「そんな、まだ外は明るいのにどうして?!」 「わからない、わからないけど居場所がばれてしまった。早く逃げないと・・・」 ガタァァン! パラ・・・パラ・・・。 なんて力だ。 補強をしたドアをこうも簡単に破壊するだなんて。 僕とミヅキは相手を刺激しないように、通路に張り付きながら息を潜めた。 ドアを破壊した女がゆっくりと中へ入ってくる。 近くにいた老人と男も遅れて入ってきた。 ずるり ずるり、と。 彼らはそのまま部屋の奥へと侵入し、ダイニングテーブルに3体とも座った。 どこから用意したのか、3本のグラスをテーブルに載せて。     
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