1 非月

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 元々わたしは口数が少ない方で独り言も呟かないから、大抵の場合、わたしの行為は誰にも知られない。目撃者がいれば話は別だが、相手がわたしを知らなければ、口の利けない動物と同じ。が、そうでない場合、何件かに一件、親や学校に通報される。その結果として、わたしが親や教師に叱られる。 「動物は人間ではないのだから赦してやれ」  例えば教師にそう言われる。そうやって、わたしを諭そうと力を注ぐ。相手が明らかにわたしよりも弱いスズメのときは、 「可哀想だとは思わないのか」  と諭される。スズメはわたしの掌中で血と肉と骨に変わり命が費えたわけだが、それだけのこと。他に感慨があろうはずもない。手についた血の感覚がトロリとし、面白かった記憶のみが付随。悪さをしたのはスズメの方だから悪いのもスズメ。そんなわたしの考えは今に至るも変わらない。     
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