第1章

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久しぶりの食卓には、我が家の定番惣菜が並んでいる。最近はほとんど実家に帰っていなかったから本当に懐かしい味だ。そんな私も年明けの1月から実家にUターンしてからは毎日、母親の料理を口にしていた。 「あんたも、いい年なんだから、そろそろ考えなさいよ、京子……」 母親の心配気な表情を見つつも、私は心の中で、なんとも形容し難い苦渋面を浮かべて、母親に返していた。 (どうせ、私はキズものですよ……) あの頃より、はるかにボリュームの増した体つきなった私だがアノ日以降、男性を迎え入れた事は一度もなかった、いや、出来なかったのだ。 「お袋、姉貴は色気より食い気だよ」 さすがは我が弟、よく見てるわね!!、って、妙齢の女性に向かってそれは、ないんじゃない?、と文句を言ってやる。
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