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いつからだろうか。
人が自分というものを確立し、小社会に属していくようになるのは。
そんなことを考えていると、クイっと半袖口を掴まれる。
顔を横に向ければ、大きな瞳が心配そうな色を浮かべていた。
「竜一……危ない」
「ん、あぁ、ありがとう」
前をよく見ると信号は赤。
ぼーっとしていたせいか横断歩道をそのまま突き進むところであった。
交通量の多いこの大通り、 夏鳴が横にいなかったら、危なかった……
幼馴染の畔美 夏鳴は静かな子だ。
小さい頃は気にしてはいなかったが、中学に入った時にその静かさが他の人達とは比にならないものだと知った。
でも、心は優しい子だ。今も俺を助けてくれた。
夏鳴がいなければこの高校生活もここで終わってしまっていたかもしれない。
なんて、ちょっと大袈裟だったかな。
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