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廊下に出ると、恐らく染めているであろう明るめの髪を肩まで伸ばしている女子が立っていた。
そして俺を見つけるなり小走りで目の前でやってくる。
「神木君、その……来てくれてありがとう」
「うん。それで俺にどんな用事が?」
「あ、あのこれ……」
目の前に差し出されたピンク色の手紙。さっきから両手を後ろに隠していたのはこれを持っていたからであろう。
「返事はいつでもいいから」
そう言い残し、その場を去っていく後ろ姿を眺めていると、教室の窓が勢いよく開いた。
「ひゅー! やるー」
「竜一、これで何回目だ? 二回目かー?」
「はぁ……」
溜息をつき自席に戻ると、またしても人が周りに群がり出す。
こういう時の人の目っていうものは男も女も同じ色をしている。
好奇心を剥き出しに、その心を満たそうと他人の気持ちを一切考慮しない。
「なぁなぁ竜一、今の子結構可愛いべ。ワンチャン付き合えるレベルっしょー」
「いやいや竜一君の好みとはなんか違う感じするけど」
何故か勝手に自分基準で話を進められている。
取り敢えず、この場を鎮めたい。
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