蝉の声

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「いや、二次会どうしようかって話しててさ」  俺がそう答えると、桑野は無造作にセットされた髪を指先で弄りながらウインクする。 「悩んでないで行こうよ!」 「あ、いや悩んでいるというか、帰ろうかなーって」 「えー、いやいや、まだまだこれからでしょー。まだ、夏鳴ちゃんと桐乃ちゃんと話してないしー」  夏鳴ちゃん……? 桐乃ちゃん……? 「それに、竜一君もね」  ズッキュンと人差し指を向ける桑野に怯んでしまう。  桑野は硬直している俺の横を通り過ぎると、夏鳴と三鎌の間に入る。 「夏鳴ちゃんも桐乃ちゃんもカラオケ行こうよ! 来るだけでもいいからさ」 「き、桐乃ちゃんって言うな! な、なんか痒くなるだろ! ……ま、まぁ行くだけなら、いいけど」 「三鎌さんと竜一が行くなら……行きたい」  荒ぶる三鎌と頬を染める夏鳴。  この様子からすると、行きたくないわけではないのかもしれない。
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