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「まだ告白と決まったわけじゃないでしょ」
「いやいや、十中八九告白っしょ!」
「そうよ! いやー、でも竜一君に告るなんて大した自信よねー」
そう言ってゲラゲラと笑い出す周りの雰囲気に少し息苦しさを感じ、俺はその場を離れた。
「お、竜一どこ行くん?」
「購買」
再び廊下に出ると、ハンカチで手を拭きながら教室に戻ろうと、こちらに歩いてくる夏鳴が目に映った。
夏鳴も俺に気付いたのか、そっと微笑む。
「夏鳴、もう食べたのか?」
「ううん、まだ」
「そっか。購買行くんだけど、一緒に行かない?」
「欲しいものないから大丈夫」
「そっか……んじゃ行ってくる」
「うん」
小さく手を振る夏鳴を背に一人購買へ向かった。
夏鳴は学校やその付近ではあまり俺と接触しようとしない。
別に夏鳴が俺を避けているからとかではない。見えない何かが、夏鳴にそれを強制しているのだ。
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