第1章「名探偵は童貞卒業を夢見る」

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「この一連の事柄についてどう思ってる?」 「……正直すまんかったと思ってる……」  素直に謝る。  だが、だからと言って諦めるわけにはいかない。 「でも今度こそ失敗しない! だからもう一度チャンスを!」 「ふざけんな! このペースで紹介してたら女友達がいなくなるわ!」 「そこをなんとか! 頼れるのは申一郎だけなんだよ!」  イケメンで性格もいい申一郎は、女性にモテるし交友関係も広い。  オレが女関係で誰かに頼るとしたら、それは申一郎しかいないんだ。  しつこく食い下がっていると、さすがに申一郎も訝しみはじめる。 「貞虎……お前一体何があったんだ? 急に女を紹介してくれなんて言いだして、どうしてそこまでカノジョが欲しいんだ?」 「そ、それは……」  そういや理由をまだはっきりとは言っていなかったか。 「分かった、正直に言う。オレは――」  そうだ、オレは―― 「オレは童貞を卒業したいんだ!」 「…………」  ……あ、めっちゃバカにした顔してる。 「貞虎……お前バカなの?」  あ、口に出しやがった。 「どんな心境の変化かと思ったら……ただの性欲か」 「ち、違うわ! ……いや、そういうエロい気持ちもそりゃあるけど。でもそれ以上にオレは、今の自分が童貞である事が嫌なんだよ」 「……? どういう事だ? 今どき童貞なんてそう恥ずかしいものでもないだろ?」 「だから恥ずかしいとかでもないんだって! これはオレと童貞との真剣勝負なんだよ!」 「ますます意味が分からないんだけど……」 「何で分からないかなぁ? だいたいオレがこうなったのは、元はと言えば申一郎、お前が原因じゃないか」 「オレのせい!?」  驚いた声を上げる申一郎。  ――だがこれは本当の事。  そう、全てはコイツのあの一言から始まったんだ――。
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