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「新入生の皆さんを心から歓迎いたします。今皆さんは新しい高校生活の夢を胸に――」
入学式――。
体育館の舞台上では校長の挨拶が続いている。
……が、そんなもの当然のごとく聞いちゃいない。
そんな事よりも……と周囲を見回す。
オレと同じ新入生が、ずらりと体育館を埋め尽くしている。
……うぅわっ! 可愛い子多くね?
この学校、女子のレベルがスゲー高いぞ。
「何をニヤニヤしてんだよ?」
隣の席の申一郎が聞いてくる。
申一郎は何故か、オレと同じ白羽矢高校に進学することを選んだ。
どうしてか理由を尋ねると「貞虎と同じ高校に行きたいから」と返事がきた。
さらに「そんなにオレの事が好きなの?」と聞くと「まあね」と答えられ、「もしかしてホモ?」と聞くとぶん殴られた。
セーフ、どうやらホモではないらしい。
「どうせ可愛い子ばかりだからニヤニヤしてたんだろうけどさ」
さすがは幼馴染、オレの考えが読まれてる。
だけどこの美人率にはテンションを上げざるを得ない。
消去法で選んだ高校だったが、これは大正解じゃないだろうか?
「女の子はかわいいし、オレの黒歴史を知る人間はいないし……。いける! これなら黒歴史をリセットしてやり直せるぞ!」
「それはどうかな?」
……何だと申一郎?
オレの幸せな未来予想図に異を唱えるつもりか?
「ほら、壇上を見てみなよ」
言われて体育館の舞台の方へ目をやる。
すると……。
「次は新入生代表の挨拶です。新入生代表、水瀬辰姫(みなせたつき)さん」
そんなアナウンスと共に、一人の女生徒が壇上に上がってきた。
――ハッと息をのむ。
オレだけではない。体育館の生徒全員が、彼女に目を奪われた。
飴色の長いストレートの髪に、透けるような白い肌。
遠目でも分かる整った顔立ちは、『まるでお人形さんのよう』という比喩がしっくりとくる。
この学校のレベルの高い女子生徒の中でも、際立って目立つ美少女だ。
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