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声を限りに叫んでみたが、遼河にはまるで聞こえていないようで、俺のベルトを緩めてスラックスの前を寛げた。
彼の香りにすっかりあてられた体は従順に反応し、下着の生地を押し上げるように勃起したモノはだらしなく蜜を溢れさせていた。
(こんなの……嫌だ!)
古くから何かと蔑まれてきたΩは慰み者として扱われ、望まない性交、そして妊娠を強要される者があとを絶たない。稀少種ではあるが、それを保護するという法律は未だに確立してはいない。しかし、運命の番を見極めることが出来るαに捕えられれば逃げることは叶わない。
何度も首を振って拒んでみるが、遼河は俺の乳首に歯をたてながら、下着越しにその形をなぞっていく。
俺にだってそれなりの夢はあった。相手がαにしろβにしろ、惹かれ合った者同士が愛を育んで子を成すことを……。
でも、こんなレイプまがいのセックスに愛はない。
それに、薬を飲むことを許されなかったこの体はもう発情の兆しを見せている。
このまま遼河に抱かれれば、俺は……妊娠する可能性が高い。
たとえ番(つがい)になれなくても、遼河の子供を生まなければならない。
妻と子供がいる彼が認知するとは思えない。まして、自分以外の男との間に子を成したと聞いた陽介の気持ちを考えると、たとえ彼に恋愛感情はなくても胸が苦しくなる。
自分がΩであることを隠し、抑制剤と避妊薬で妊娠を回避していたことを知ったら、彼はどんな顔をするだろう……。
遼河は確かに憧れの人ではあった。しかし、互いのパートナーを裏切るような真似をすることに怒りと悲しみしか浮かばない。
舌先で硬くなった乳首を転がされ、敏感になった体は素直に反応する。〝ダメだ〟と思っている頭の中がだんだんと霞んでくる。抑制剤が切れかけている証拠だ。
「あ……っ……っく」
大きな手で脇腹を撫でられ、思わず腰を浮かせる。
すっかり濡れてしまった下着をスラックスごと引き抜かれると、俺は勃起したペニスをふるりと震わせた。
「いい香りだ……。仙名……」
遼河の声が鼓膜を震わすたびに、わずかに開いたままの唇から吐息が漏れてしまう。
そのたびに、力を入れて抗っているはずの後孔が潤ってくるのを感じた。
遼河は体をずらしながら自分の着ていたスーツを脱ぎ、ワイシャツの前を開けた。
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