告白

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告白

 どのくらいたっただろう。  軋むような関節の痛みを感じてはいるが、まだ体の中は火照り、新たな快感を探そうとしている。  その体を優しく包み込むように抱きしめている力強い腕の存在に気付いて、わずかに目を開けた。  すぐ近くに汗に濡れた髪を乱した遼河の顔があって、下腹部がズクリと疼いた。 「――気付いたか?」 「りょ……が?」  拘束されていた両手はネクタイが解かれ自由になっていた。  レイプまがいのセックスであったが、今、遼河の胸元も金色の瞳も温かく優しかった。 「ど……して、こんなこと……。奥さんと……子供……悲しむ……」  喘ぎ疲れた喉を震わせてやっと紡いだ言葉に、彼は自嘲気味に微笑んだ。 「彼女とはそういう関係じゃない。あの人はΩでαとの男性との間に子を成した。でも一方的に番を解除されたんだ」 「そんな事って……あるの? 番は生涯……」 「いろいろあってな……。彼女の番は俺の兄だ。彼は一方的に別れを告げてこの世を去った。勝手な男だろ? 彼女は生きていく術を失って途方に暮れていたよ。だから俺が救った……」 「あなたの……番じゃない……の?」 「彼女には悪いが、何も感じないんだよ。俺が惹かれたのは……お前だ、航。平川と付き合っていることは知っていたが、Ωであるお前が妊娠の兆候がないところをみると、βである彼との関係は良好ではないと感じた。事実……お前のピルケースには彼にΩであると悟られないように抑制剤と避妊薬が入っていた」 「それは……っ」 「抑制剤を飲んでいてもΩは番を見極める本能がある。平川は……お前の相手じゃない」 「そんなの……っ」 「――こんな強引な真似をしたことは謝る。でも、そうでもしなければお前はずっと自分を偽り続けていた」  遼河の真剣な眼差しに俺は息を呑んだ。 「これから一週間、俺と子作りをする。部長命令だ……」 「え?」 「――俺の番になってくれ」  耳元で甘く囁いた遼河の牙が俺の首筋に深く食い込む。  痛みよりも、なぜか――幸せに満ちていた。  本当に欲しかったもの、互いの本能が呼び合ったものは離れることはない。  俺は彼の背中に両手を回して強く抱きつくと、穿たれた牙がより深く俺の中に入っていくのを感じて、そっと目を閉じた。  涙が一筋流れた。素直に嬉しい――と。
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