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正直、こっちもおかしくなりそうだ。多分ものすごく必死な顔をして、暴走しそうな自分を抑えている。吐き出す息は獣のように荒いし、中心に無視できない熱が集中して、苦しい。
俊哉の呼吸が一段と荒くなってきた。二本の指の抜き挿しをさらに速め、先端の割れ目に爪先を当てた瞬間、そこが弾けた。
「……めちゃくちゃ、出た」
濃い白濁まみれの手を呆然と見つめる。
「当たり、前だろ……っ」
肩で呼吸を繰り返しながら、俊哉はこちらを軽く睨みつける。
「こういうの、久しぶりなんだぞ……少しは、手加減、しろよ……!」
ようやく、彼が自ら指示を出していた理由がわかった。少しずつ、自分を受け入れる身体に慣らすためだったのだ。
いくら初体験とはいえ、あまりな行動に思わず正座して俯いていると、シャンプー混じりの柔らかな香りが鼻腔をくすぐった。俊哉の頭の撫で方は、恋人というよりは子ども相手に近い。
「可愛いな、ほんと」
「可愛いのは、俊哉さんです」
「図体のでかいやつがそうやってしょんぼりしてるとこの、どこが可愛くないって?」
触れるだけのキスが降ってくる。
「……もう、大丈夫だから」
どういう意味だろう?
「ここからは、お前の好きにしてくれていいから」
俊哉は満ち足りた笑みを浮かべる。
「お前に、上書きしてほしい。今までの俺を忘れるくらい、抱いてほしいんだ」
なんて、殺し文句。
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