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枕を握りしめて頭を左右に振るたび、黒い髪で彩られた首筋が視界を煽る。見えるところにつけたら俊哉が困るだろうと思いつつも、止められない。
――この人は全部、オレのものだ。
「な、に……?」
薄い痕が生まれた箇所を人差し指でなぞって、律動を再開する。枕にあった両手をそれぞれで絡めると縋るように握り返される。目尻と口端から流れ落ちる雫が、自分のためにあふれていると思うだけで目元が熱くなる。
「……泣いてるの?」
微笑みながら問われて、初めて気づいた。
泣くなんていつ以来だろう。自覚したらいたたまれなくなってきた。
「自分でも、よくわかんないです。俊哉さんとこうしていられて、幸せすぎなのかも」
「俺だって、一緒だよ。……本当に好きな人とするのって、こんなに満たされるんだって」
だから、もっと好きにして。
もっと、高史で満たして。
飽きるほど互いの身体を貪って――夢見心地を覚ます音でまぶたを持ち上げて映った、胸元でくるまる俊哉の穏やかな表情に、また涙がこみ上げそうになった。
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