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第三話
つながりかけていた互いの縁は確実に切れた。きっと修復もできない。
認めたくなくても、相手の前に分厚い壁があれば諦めざるをえなくなる。
もしかしたら、気づかないうちに出ていくかもしれない。
朝、目が覚めるのが怖くてたまらなかった。バイトもできるなら休みたかった。鎖でつないでおきたいなんて、物騒なことをつい考えてしまいたくなるくらいに。
朔がやってきてもうすぐ二ヶ月が経とうとしている。すでに一人きりの生活は考えられない状態にまで陥っていた。
けれど、自分の都合だけで縛りつける権利も当然、なかった。
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